デスクワークの腰痛|椅子と休憩の見直し方と、受診を考えたい目安
デスクワークが続くと腰が痛い、夕方になると座っているのがつらい。長く座って仕事をされている方から、よくうかがうお悩みです。この記事では、しゃくじいホワイト整骨院が、座る時間と腰の痛みについて分かっていること・分かっていないことを整理し、厚生労働省の指針をもとにした座り方の見直し方と、医療機関へご相談いただきたい目安をご説明します。まず、その目安からお伝えします。
先に確認してください。受診をご検討いただきたい腰痛のサイン
座り方の話に入る前に、こちらを先にお伝えします。日本整形外科学会・日本腰痛学会の監修による『腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)』では、腫瘍・感染・骨折といった重い脊椎の病気が隠れている可能性を疑うべき「危険信号(レッドフラッグ)」として、次の9つが挙げられています。
- 発症年齢が20歳未満、または55歳より上
- 時間や活動性に関係のない腰痛
- 胸部の痛み
- がん、ステロイド治療、HIV感染の既往
- 栄養不良
- 体重減少
- 広い範囲におよぶ神経症状
- 構築性脊柱変形(背骨の形そのものの変形)
- 発熱
同ガイドラインは、こうした項目を念頭に置いた問診・診察を行い、複数が当てはまる場合は特に注意を払うとしています。当院は整骨院であり、医療機関(病院・診療所)ではありません。背景に何があるのかを調べることはできませんので、思い当たる項目がある方は、まず医療機関へご相談ください。また、これらに当てはまらない場合でも、痛みが長く続くときや強くなっていくときは、医療機関でのご相談をご検討ください。
また、これはガイドラインの表とは別に当院がお伝えしていることですが、脚のしびれや力の入りにくさ、排尿・排便のいつもと違う変化をともなうとき、転倒や事故など強い力が加わったあとの痛みについても、先に医療機関でご相談いただきたいと考えています。
「座り方が悪いから腰が痛い」と言い切れるのか
デスクワークの腰痛について調べると、「座る姿勢が悪いから腰が痛くなる」という説明をよく見かけます。ただ、ここは正直にお伝えしておきたいところです。
先ほどのガイドラインは、仕事と腰痛の関係について、重い物を持ち上げるような身体的負荷の大きい重労働は腰痛が起きる危険因子と考えられるとしています(ただし、腰痛と職業に関するエビデンスとしては中等度である、とも付け加えられています)。一方で、働いているときの姿勢の悪さそのものが腰痛の独立した原因だと同定できるとは限らないとする研究も多く、厳密な根拠はないとも書かれています。同ガイドラインは、初版が紹介した「腰痛の85%が非特異的腰痛である」という有名な言い方についても、その根拠は再考する必要があるとしています(非特異的腰痛とは、原因を特定できない腰痛という意味合いで広まった言い方です)。
つまり、原因を一つに絞り込めるほど単純な話ではありません。だからこの記事では、根拠のはっきりしている範囲だけをご紹介します。
仕事の環境そのものも関わります
もうひとつ、同ガイドラインが挙げているのが心理社会的な要因です。仕事に対する満足度、仕事の単調さ、職場の人間関係、仕事量の多さ、精神的ストレス、仕事に対する能力の自己評価は、それぞれ将来の腰痛の発生と強い関連があるとされています。また同ガイドラインは、腰痛の治療成績と痛みが長引くことには心理社会的な要因が強く関連する、とも述べています。姿勢や椅子だけの話ではない、ということです。
厚生労働省の指針が挙げている、座り作業と作業環境の項目
では、根拠のある範囲で何ができるのか。厚生労働省は「職場における腰痛予防対策指針」をまとめており、そのなかで、座り作業の項目と、座って働く方にも当てはまる作業管理・作業環境の項目を挙げています。もともとは事業者向けに定められたものですが、ご自身の机まわりを見直すときの手がかりになります。
椅子は「体格に合っているか」で選ぶ
指針では、椅子は座面の高さ、奥行きの寸法、背もたれの寸法・角度、肘掛けの高さなど、その人の体格に合ったものを使うこととされています。高級な椅子かどうかではなく、自分の身体に合っているかどうかが基準です。
物を「肘を伸ばして届く範囲」に置く
不自然な姿勢での作業にならないよう、作業対象物は肘を伸ばして届く範囲内に配置する、とされています。マウス、書類、電話。少し離れた場所にあるものを取るたびに、身体をひねったり前に伸ばしたりしていないでしょうか。
机の高さは肘が約90度
作業台は、肘の曲げ角度がおよそ90度になる高さにするとされています。机の高さを変えられない場合は、椅子の高さと足元で調整する形になります。
休憩を入れて「姿勢を変える」
指針は、適宜、休憩時間を設けて姿勢を変えるようにすることを挙げています。また、不自然な姿勢を取らざるをえない場合は、前かがみやひねりなど、その姿勢の程度をなるべく小さくし、頻度と時間を減らすこととされています。ずっと同じ姿勢でいないこと自体が、項目として書かれているわけです。
冷やさない
寒い場所での作業は腰痛を悪化させたり発生させやすくしたりするため、適切な温度を保つこととされています。指針が挙げているのは寒い場所での作業ですが、冷房の風が直接当たる席も、一度見直してみてください。
動かずにいるほうがよい、ではありません
腰が痛いと、動かないほうが安全な気がしてきます。ですが『腰痛診療ガイドライン2019』は、急に起きた腰痛に対しては、安静にしているよりも活動性を維持するほうが有用であるとしています(ただし推奨の強さは「行うことを弱く推奨する」とされています。また、脚に広がる坐骨神経痛をともなう腰痛では、安静と活動性維持に明らかな差はないとされています)。長く続いている腰痛についても、運動療法は有用であるとされています。
腰痛の予防という点でも、同ガイドラインは運動療法を「行うことを強く推奨する」としています。ただし、ここでいう運動療法とは、専門医が診察したうえで適応を慎重に検討して組み立てられたプログラムを指しており、あらゆる運動がそのまま当てはまるわけではない、という注意書きも添えられています。当院の施術がこれに当たるという意味ではありません。
あわせて覚えておきたいのが、コルセットには腰痛に対する直接的な予防効果はないとされている点です。つらいときに支えとして使うことと、着けていれば腰痛を防げることは別、ということになります。
今日からできること
- 椅子の高さ・奥行き・背もたれを、自分の身体に合わせて調整し直す
- よく使う物を、肘を伸ばして届く範囲に集める
- 机に向かったとき、肘がおよそ90度になっているか確かめる
- 休憩をはさんで姿勢を変える。立ち上がって少し歩く
- 腰まわりを冷やさない。冷房の風が直接当たる席は向きを変える
どれも派手さはありませんが、冷房の席の話を除けば、いずれも公的な指針やガイドラインに書かれている範囲のことです。
座る時間と姿勢について、当院が考えていること
しゃくじいホワイト整骨院が力を入れているのは、姿勢の改善です。背骨や骨盤の傾きを確認するのは、今のお身体の状態を把握し、身体の使い方をご一緒に見直していくためです。ただし、腰痛の原因となる病気を診断するものではありませんし、姿勢を整えることで腰の痛みが軽くなる・なくなるとお約束するものでもありません。そのうえで、できることをご提案しています。
施術の内容は施術メニューのページに、初めてご来院いただくときの流れは初めての方へのページにまとめています。
なお、重い物を持ち上げた瞬間など、いつ・どうして痛めたかがはっきりしている急性のケガは、健康保険の対象になることがあります。この場合についてはぎっくり腰のページで詳しくご説明しています。一方で、きっかけのはっきりしない腰のだるさや、疲労回復を目的とした施術には健康保険は使えませんので、その点は受付でもはっきりお伝えしています。
当院は西武池袋線 石神井公園駅 南口から徒歩2分、年中無休で、平日は20時30分まで受け付けています。仕事帰りに寄っていただける時間帯です。
腰のことでお困りでしたら、お気軽にご相談ください
座っている時間が長く、腰のつらさが続いている方は、お気軽にご相談ください。お話をうかがったうえで、医療機関でのご相談をおすすめすることもあります。
